「あきらめたらそこで試合終了だよ」は誰の名言?何巻
- 2026.07.22
- SLAM DUNK
『SLAM DUNK(スラムダンク)』の名言「あきらめたらそこで試合終了だよ」は、湘北高校バスケットボール部監督・安西先生(安西光義)の言葉です。初出は単行本第8巻、三井寿の中学時代を描いた回想シーン。アニメでは第69話「WISH」で描かれました。
正確な台詞と、広まった「ですよ」との違い
出典から確認しましょう。原作で安西先生は、要約ではなく、原文どおりにはこう言っています。
最後まで…希望を捨てちゃいかん。あきらめたらそこで試合終了だよ
ネット上では「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という形でも広く引用されています。これは誤引用ではありません。「ですよ」は第27巻・インターハイ2回戦の山王工業戦で、安西先生が桜木花道へ語りかけた別の場面の台詞なのです。三井寿への初出(第8巻)は語尾が「だよ」、山王戦(第27巻)は「ですよ」。同じ言葉が二度、相手と場面を変えて登場するため、どちらの語尾だったかが混同されやすいのだと考えられます。誰の名言かと問われれば、答えはどちらも安西先生です。
この台詞が生まれた場面 — 三井寿の中学時代
【ネタバレ注意】以下、単行本第8巻および第27巻の展開に触れます。
「だよ」の台詞が生まれたのは、三井寿がまだ中学生だった頃の回想です。県大会の決勝、三井のチームはわずかにリードを許し、残り時間はおよそ12秒。しかも相手ボール。中学MVP候補としてチームを牽引してきた三井が、もう間に合わないと崩れ落ちかけたその瞬間、観客席にいた安西先生が、足元へ転がってきたボールを静かに拾い上げ、うつむく三井にこの言葉をかけます。
このとき安西先生は三井の監督ではなく、まだ一人の観客にすぎませんでした。声をかけられた三井は再びコートへ向かい、逆転のスリーポイントを沈めて勝利をつかみます。ここで芽生えた安西先生への憧れが、のちに三井が湘北高校を選ぶ理由となり、そして挫折と回り道を経た「安西先生…!! バスケがしたいです……」の名場面(アニメ第27話)へとつながっていきます。
……転がるボールを拾い上げる安西先生の、あの穏やかな横顔を思い浮かべると、私はいつもこの一コマで手が止まります。ここからは筆者の感想になりますが、この台詞は単なる背景説明ではなく、三井というキャラクターのその後のすべての行動の起点になっている——そう読めるところに、二度描かれた意味があるように思います。
媒体による違いも正確に整理しておきます。三井の回想場面はテレビアニメ(1993〜96年放送・全101話)では第69話「WISH」として映像化されました。一方、「ですよ」が登場する第27巻の山王工業戦は、このテレビシリーズでは描かれておらず(放送は県大会までで幕を閉じています)、山王戦を含むくだりは後年の劇場作品で描かれることになります。同じ言葉でも、原作のどの巻で、あるいはどの映像で出会ったかによって、記憶に残る語尾が「だよ」か「ですよ」かで分かれやすいのは、こうした事情も関係していると考えられます。
なぜこの一言が残り続けるのか
この台詞が長く引用され続ける理由の一つは、言葉そのものが場面を離れても意味を保つ強さにあります。バスケットボールの試合という具体的な状況を語りながら、「終わりを決めるのは自分の心のほうだ」という普遍的な一文としても読めるため、スポーツの文脈に限らず、勉強や仕事など様々な場面の励ましとして幅広く引用されてきました。作中で二度、しかも異なる相手(挫折しかけた三井、そして王者・山王を前にした桜木)へ向けて発せられている構成も、この言葉の重みを支えています。ネット上では作品を象徴する一言として頻繁に取り上げられ、応援や自戒の言葉として書き添えられている例も数多く見られます。ただ、そうして一文だけが独り歩きするとき、元の場面が持っていた静かな熱までは、なかなか一緒には運ばれていきません。挫折しかけた中学生の三井に、まだ見知らぬ大人がそっとボールを拾って差し出す——その具体的な情景があってはじめて、この言葉は「終わりを決めるのは自分の心のほうだ」という重さを帯びます。出典に立ち返ることは、揚げ足取りではなく、その熱をもう一度受け取り直すことでもあります。
まとめ|この場面を読むなら第8巻
「あきらめたらそこで試合終了だよ」は安西先生の言葉で、初出は第8巻・三井寿の中学時代の回想(正確な語尾は「だよ」)。広く知られる「ですよ」は第27巻・山王戦で桜木へ向けた別場面の台詞で、こちらも本物です。三井の物語を最初から読むなら単行本第8巻、山王戦の「ですよ」を読むなら第27巻からどうぞ。
出典・参考情報
- 井上雄彦『SLAM DUNK』単行本 第8巻(三井寿・中学時代の回想/「あきらめたらそこで試合終了だよ」)
- 同 第27巻(インターハイ山王工業戦/桜木花道への「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」)
- テレビアニメ『SLAM DUNK』第69話「WISH」(三井回想の該当場面)/第27話「安西先生…!! バスケがしたいです!」
- 確認日: 2026年7月11日(単行本収録の語尾差分・場面差分を照合)
正確には二度、相手を変えて言われている——そう気づいてから読み返すと、第27巻で桜木にこの言葉をかける安西先生の胸の内が、まったく違って見えてきます。……また場面に見入ってしまいました。出典に戻ります。広まった「ですよ」の形も、これだけ愛された言葉だからこそ、なのだと思います。
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