NARUTO最大の謎「あの術は使うなよ」とは何だったのか?自来也とカカシの関係から分析

『NARUTO』という作品には、数多くの謎や伏線が散りばめられています。

その中でも、連載終了から10年近く経った今でも、ネットの片隅で燻り続ける一つの謎があるのをあなたはご存知でしょうか。

そう、自来也がナルトに言い放った、「あの術は使うなよ」というセリフです。

もはや原作の文脈を離れ、一種のインターネットミームとして独り歩きしているこの言葉。

今回は、この「NARUTO三大謎」の筆頭とも言われるセリフの正体について、俺なりに深く切り込んでいこうと思います。

そもそも「あの術は使うなよ」ってどんなシーン?

まずは記憶の扉をこじ開けるために、原作のシーンを振り返ってみましょう。

このセリフが登場するのは、第二部の序盤。原作第28巻、第251話「砂へ…‼」での一幕です。

我愛羅が暁に連れ去られ、ナルトたちが風影奪還任務へと出発する直前のことでした。

ナルト…
分かってるとは思うが…
あの術は使うなよ…

師である自来也が、弟子であるナルトの身を案じ、真剣な面持ちで釘を刺す。

この前後の会話を見ても、自来也がナルトの無茶な戦い方を本気で心配しているのが伝わってきます。

つまり、決してギャグや冗談の類で言っているわけではない。極めてシリアスな警告だったわけです。

ちなみに、この謎をさらにややこしくしているのが、アニメ版での改変です。

アニメ『NARUTO疾風伝』では、このセリフが「あの力は使うなよ」に変更されています。

この「術」から「力」への変更が、後にファンの間で激しい議論を巻き起こす、いわば公式からの燃料投下となったのです。

結論から言うと「九尾の力」説が圧倒的に有力

さて、本題の「あの術」の正体ですが、現在の考察界隈では、ほぼ一つの答えに収束しつつあります。

それは、「九尾の力(九尾チャクラの暴走)」を指している、という説です。

あまりにストレートな答えで拍子抜けしたかもしれませんが、根拠を並べると、これが最も揺るぎない説であることがわかります。

根拠1:アニメ版での「あの力」への変更

まず、先ほど触れたアニメ版のセリフ変更。

「術」という言葉には印を結んで発動する技のイメージが強いですが、「力」となると、ナルトの内なる存在、つまり九尾のチャクラを連想させる方が自然です。

制作側が、視聴者に誤解を与えないよう、より直接的な表現を選んだと考えるのが妥当でしょう。

根拠2:自来也の「死にかけた」経験

ナルトとの修行中、自来也はナルトの九尾チャクラが暴走し、四本目の尻尾が生えた際に、本気で殺されかけた経験があります。

あの伝説の三忍である自来也ですら、死を覚悟するほどの危険な力。

そんな経験をした師匠が、弟子に「あの力だけは使うな」と念を押すのは、あまりにも自然な流れではないでしょうか。

根拠3:カカシ先生のフォロー

決定的なのが、この警告の後の物語の展開です。

風影奪還任務の道中、デイダラと対峙したナルトは怒りで我を忘れ、九尾のチャクラを解放し始めます。

その暴走を止めたのが、カカシが自来也から預かっていた「札」でした。

この一連の流れは、「自来也はナルトが九尾の力を使うことを予見し、カカシに対策を託していた」ということを示しています。

警告から暴走、そして鎮静までが完璧に一本の線で繋がる。これ以上ない強力な根拠と言えるでしょう。

ではなぜ、ここまでミーム化したのか?

「正体は九尾の力でほぼ確定じゃん」

そう思ったあなた、その通りです。しかし、話はそれで終わりませんでした。

むしろ、ここからがこのセリフが「伝説」になった本当の理由なのです。

愛すべきネタ考察たち

ネットの考察好きたちは、こんな綺麗な結論だけでは満足しません。

彼らは原作の隅々から可能性を探し出し、様々な「珍説」を生み出していきました。

  • おいろけ・逆ハーレムの術説:
    ラスボスのカグヤにすら一瞬効果があった最強の術。カカシが「ナルト…まさかあの術は…」と言っていることから、「自来也もこの術の危険性を予見していたのでは?」という説。あのシリアスな場面で心配するのがそれかよ、というツッコミはもはや様式美です。
  • 九尾螺旋丸説:
    ガマ寅の腹に封印の鍵を仕込む際、自来也が「お前の精神力では九尾のチャクラを抑えきれず螺旋丸が歪む」といった趣旨の発言をしています。これも危険な術ではありますが、警告の深刻さとは少しズレる気がしますね。

こうした説は、真面目な考察というよりは、もはや大喜利に近いものです。

しかし、この「ああでもない、こうでもない」と自由に解釈できる余白こそが、ファンにとって最高の遊び場となったのです。

ネットミーム化への道のり

このセリフがネットミームとして爆発的な拡散を遂げた背景には、いくつかの段階がありました。

2005年の原作初出からしばらくは、あくまで読者間の素朴な疑問でした。

風向きが変わったのは2018年頃。なんJなどの匿名掲示板で「NARUTO三大謎(あと一つは?)」のテンプレとして扱われ始めたのが転換点です。

その後、まとめサイトがこぞって記事にし、認知度は一気に拡大。

そして決定的だったのが、「ナルトス」と呼ばれるNARUTOのコラ画像文化との融合でした。

「やはり…うちはマダラか!?」や穢土転生など、既存のナルトスと組み合わせることで、「あの術は使うなよ」は汎用性の高い「禁止フォーマット」へと昇華されたのです。

自来也が全く関係ないキャラに警告したり、ナルトがとんでもない術を使おうとしたり…。

どんなシチュエーションにも使える手軽さがウケて、ネットのおもちゃとして不動の地位を築いたわけですね。

たった一言が紡いだ20年の物語

結論を言えば、「あの術」の正体は、やはり「九尾の力」でほぼ間違いないでしょう。

しかし、この謎の本当の面白さは、正解が何かということではありません。

作者が意図したかどうかにかかわらず、たった一コマ、たった一言のセリフが、20年近くもの間ファンコミュニティを活性化させ、議論を生み、数多の二次創作やコラ画像の源泉となった。

この事実そのものが、何よりも雄弁に『NARUTO』という作品の偉大さを物語っているのではないでしょうか。

原作の曖昧な部分を、ファンが愛を持って拾い上げ、育て、一つの文化にまで昇華させる。

これこそが、デジタル時代における物語の新しい楽しみ方なのかもしれません。

さて、長々と語ってきましたが、あなたの思う「あの術」は何ですか?

もしかしたら、まだ誰も気づいていない、全く新しい説がどこかに眠っているのかもしれませんね。

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