【タコピーの原罪】久世しずかちゃんは「被害者」か「魔性の女」か?その危うさと魅力

『タコピーの原罪』がネットを席巻したあの日々を、あなたは覚えているだろうか。
毎週更新されるたびにトレンドを独占し、善良な地球人の心をかき乱したあの問題作。
その中心にいたのが、本作のヒロイン、久世しずかだ。
今回は、この「笑わない女の子」が、なぜ俺たちの心をこれほどまでに掴んで離さないのか、その魅力と恐ろしさの本質に迫ってみたいと思う。
全読者が守りたかった「完璧な被害者」
物語の序盤、久世しずかは誰もが同情する「完璧な被害者」として描かれる。
黒髪セミロングの美少女。しかしその顔や体には痛々しい痣があり、着ている服もランドセルもボロボロ。
家庭では母親からネグレクトを受け、学校ではクラスメイトの雲母坂まりなから執拗ないじめに遭う。
そんな地獄のような毎日で、彼女の唯一の心の支えは、飼い犬のチャッピーだけ。
チャッピーといる時だけ見せる、年相応の無邪気な笑顔。その笑顔を守るためなら何でもできる。そう思った読者は俺だけじゃないはずだ。
「チャッピーがいれば私は大丈夫 他には何もいらないんだ」
このセリフに、彼女の世界のすべてが集約されていた。
だからこそ、そのチャッピーがいなくなった時、彼女の世界は崩壊する。
そして、ハッピー星人タコピーから借りた「仲直りリボン」で、あっさりと自らの命を絶ってしまう。
この展開に、多くの読者が言葉を失った。救いたかった。助けたかった。タコピーと同じように、彼女が幸せになる未来を誰もが願ったはずだ。
「ありがとう」― 聖女が魔女に変わる瞬間
物語が大きく捻じれるのは、タコピーが犯した「過ち」からだ。
しずかを助けたい一心で、タコピーはまりなとの間に割って入る。
しかし、その手にはハッピーカメラが握られていた。結果は、まりなちゃんの撲殺。
絶望するタコピー。時間を巻き戻そうとするも、血で汚れたカメラは無情にも壊れている。
万事休す。誰もがそう思った瞬間、しずかちゃんは、あの読者が見たかったはずの「笑顔」をタコピーに向ける。
「ありがとうタコピー 殺してくれて」
この一言で、作品の空気は一変した。
背筋が凍る、とはまさにこのことだ。
今まで守るべき対象だったはずの可哀想な少女が、自分をいじめていた相手の死を、満面の笑みで「感謝」したのだ。
「まるで魔法みたい」と無邪気に喜ぶ彼女の姿は、あまりにも純粋で、だからこそ狂気に満ちていた。
この瞬間、久世しずかは単なる「被害者」ではなくなった。
自らの願いを叶えるためなら、他人の死すらも肯定する。そんな危うい一面が、読者の前に突きつけられたのだ。
「東くんしかいないの」― 無自覚な支配者の誕生
しずかちゃんの恐ろしさ、いや、彼女の「魔性」が本格的に開花するのは、クラスメイトの東直樹を共犯者に引きずり込んでからだろう。
まりなちゃんの死体を前に、彼女は東くんに助けを求める。
優秀な兄と比較され、母親から承認されることなく育った東くん。
彼がずっと欲しかった「誰かに必要とされる」という承認欲求。しずかちゃんは、その弱点を的確に見抜いていたのかもしれない。
「東くんしかいないの」
このキラーフレーズは、東くんの心を撃ち抜くには十分すぎた。
彼はしずかのために死体遺棄に協力し、罪を隠蔽するための計画を練る共犯者となる。
ネットで彼女が「魔性の女」と囁かれるようになったのは、この辺りからではないだろうか。
自分の手を汚さず、タコピーには「笑顔」を、東くんには「依存」を与えることで、彼らを意のままに動かしていく。
これが計算ずくの行動なのか、それとも過酷な環境で生き抜くために身につけた無意識の生存本能なのか。その判断は難しい。
だが、忘れてはならない。彼女がこうなった背景には、正しい人間関係や倫理観を教えなかった大人の存在がある。
そう、彼女は加害者であると同時に、どうしようもない被害者でもあるのだ。この二面性こそが、久世しずかというキャラクターの核心に他ならない。
彼女に「罪」はあるのか? 読者に突きつけられた問い
物語を読み進めるほど、我々は混乱する。「久世しずかの罪とは、一体何なのか?」と。
冷静に考えれば、まりなちゃんを殺したのはタコピーだ。しずかちゃんは手を下していない。
死体を隠すというアイデアを出したのも、自首するという選択肢を「宇宙人がやったなんて通らない」と潰したのも東くんだ。
彼女はただ、目の前に提示された選択肢の中から、自分の目的――チャッピーに会う――を達成するために最も都合のいい道を選び続けただけ、という見方もできる。
子供が大人の助けを得られない極限状況で、生き抜くために必死にもがいた結果が、あの行動だったとしたら…?
彼女を一方的に「悪女」と断罪することは、あまりに酷ではないだろうか。
彼女の行動は、決して許されるものではない。しかし、彼女をそこまで追い詰めた世界の方にこそ、元凶があるのではないか。
『タコピーの原罪』は、この重い問いを俺たち読者に投げかけてくるのだ。
結論:俺たちは、なぜ久世しずかに惹かれるのか
久世しずかは、聖女でもなければ、完全な悪女でもない。
彼女は、劣悪な環境が生み出してしまった、恐ろしくも哀しい「怪物」であり、同時にどこにでもいる「ただの子供」だったのかもしれない。
彼女の魅力は、この単純な二元論では決して割り切れない複雑さにある。
可哀想で守ってあげたいと思う心と、その純粋さが生む狂気に恐怖する心。
この二つの感情の間で激しく揺さぶられる体験こそが、『タコピーの原罪』が俺たちに与えた最高のエンターテイメントだったのだ。
さて、ここまで読んでくれたあなたは、久世しずかをどう見るだろうか。
彼女は救われるべき被害者か、それとも罰せられるべき加害者か。
その答えは、きっと一つではないはずだ。
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