【鬼滅の刃】甘露寺蜜璃はただの萌えキャラじゃない。異端の恋柱が持つ本当の強さ

『鬼滅の刃』という作品、もはや説明不要の国民的コンテンツですよね。

数々の魅力的なキャラクターが登場しますが、中でも異彩を放っているのが「恋柱」甘露寺蜜璃です。

初登場時、多くの人がこう思ったんじゃないでしょうか。

「なんか一人だけ雰囲気が違うな…」「お色気担当の天然キャラか?」と。

わかります。俺も最初はそうでした。胸元が大きく開いた隊服、すぐキュンキュンしちゃう乙女チックな感性。

しかし、物語を読み進めるほどに、彼女がただの「萌えキャラ」ではないことに気づかされるのです。

今回は、この殺伐とした鬼殺隊の世界に咲いた一輪の花、甘露寺蜜璃の魅力の本質を深掘りしていこうと思います。

「殿方探し」という異端すぎる入隊動機

鬼殺隊の柱といえば、家族を鬼に殺されたり、壮絶な過去を背負っていたり…。

鬼への憎しみを原動力に、文字通り命を削って戦う者たちの集まりです。

そんな中にあって、彼女の入隊動機はあまりにも異質でした。

「添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」

炭治郎にこう言い放ち、彼を盛大に困惑させたシーンはあまりにも有名ですよね。

そりゃ困惑しますよ。こっちは命がけで戦ってるのに、まさかの婚活目的。

この動機だけ聞くと、「なんだコイツは」と思われても仕方ないかもしれません。

でも、ここにこそ彼女の本質が隠されていると俺は思うんです。

「ありのままの自分」を求めて

彼女の過去を紐解くと、この一見ふざけた動機が、実は非常に切実な願いだったことがわかります。

生まれつきの特異体質。常人の八倍という筋繊維密度を持つ、通称「捌倍娘(はちばいむすめ)」。

1歳ちょっとで15kgの漬物石を持ち上げ、母親をドン引きさせるほどの怪力。

さらに、好物の桜餅を毎日170個、8ヶ月も食べ続けた結果、髪の色が桜色と緑色に変わってしまったというトンデモ体質。

この「普通じゃない」自分を隠し、お見合いに臨んだ結果、相手から浴びせられたのは心ない罵詈雑言でした。

「君と結婚できるのなんて熊か猪か牛くらいでしょう」

「そのおかしな頭の色も 子供に遺伝したらと思うとゾッとします。」

これはキツい。年頃の女の子が言われる言葉じゃありません。

この経験から、彼女は自分を偽って生きようとします。髪を黒く染め、力の弱いフリをし、食事を我慢する。

でも、心の底では叫んでいたはずです。「本当の私を、ありのままの私を受け入れてくれる人はいないのか?」と。

「自分より強い殿方が好き」という言葉の裏には、「この規格外の私を丸ごと受け止めてくれるほど強い人」という願いがあったのではないでしょうか。

そう考えると、鬼殺隊という「超人」の集まりは、彼女にとって初めて「ありのままの自分」でいられる場所だったのかもしれません。

誰も彼女の髪の色を笑わず、その怪力を称賛してくれる。皮肉にも、人ならざる鬼と戦う組織こそが、彼女の人間性を肯定してくれたのです。

ギャグみたいな設定に宿る「強さ」の説得力

甘露寺蜜璃というキャラクターを語る上で、やはりそのトンデモな身体能力は外せません。

筋肉密度8倍、相撲取り3人より食べる大食い。

これだけ聞くと、もはやギャグ補正です。しかし、作中での彼女の戦闘スタイルは、この設定に完璧な説得力を与えています。

剛と柔を併せ持つ理想の肉体

彼女が使う「恋の呼吸」は、炎の呼吸の派生でありながら、その動きは全くの別物。

まるで新体操のリボンのようにしなる特殊な日輪刀を、アクロバティックに操ります。

この常人離れした動きを可能にしているのが、彼女の特異体質。

常人離れした筋力(剛)と、それを支えるための驚異的な関節の可動域(柔)。

この「剛柔一体」の肉体があってこそ、恋の呼吸という唯一無二の剣技が生まれるわけです。

刀鍛冶の里で上弦の鬼・憎珀天と対峙した際、彼女はその身体能力を遺憾なく発揮しました。

目で追えないほどの速度と、広範囲をカバーする斬撃。あの元忍である宇髄天元すら凌ぐほどの速さです。

憎珀天を一人で足止めし続けた彼女がいなければ、炭治郎たちは半天狗の本体を倒せなかったでしょう。

戦闘中、「あばずれ!?」と本気で動揺したり、「ぎゃあああああ~~~~〜〜~!!!」と情けない悲鳴を上げたりするのもご愛嬌。

そんな人間臭さがありながらも、土壇場で見せる覚悟と強さ。このギャップこそが、彼女の魅力なんですよね。

伊黒小芭内という最高の「添い遂げる殿方」

彼女の人生を語る上で、蛇柱・伊黒小芭内の存在は絶対に欠かせません。

他の隊士にはネチネチと嫌味を言う伊黒さんが、蜜璃にだけはデレデレ。この事実に気づいていないのは、当の蜜璃本人だけです。

「伊黒さん、誰にでも優しいの!」じゃないんですよ。あなたにだけなんです。

読者なら誰もが心の中でツッコミを入れたことでしょう。

彼が贈ったニーソックスを大切に身につけ、彼からの手紙を宝物のようにしている蜜璃。

そして、大食いの彼女が食事を終えるのを、いつもニコニコと待っている伊黒。

この二人の関係性は、鬼滅の刃という過酷な物語における、数少ない癒やしであり、希望でした。

悲しくも美しい最期の告白

そして、物語は最終決戦へ。

鬼舞辻無惨との死闘の末、二人とも致命傷を負ってしまいます。

死の間際、伊黒の腕に抱かれながら、二人は初めて互いの想いを告白します。

自分の特異な体質をコンプレックスに感じていた蜜璃。過去の罪に苛まれていた伊黒。

互いが互いの存在によって救われていたことを知り、来世での再会と結婚を誓い合うのです。

このシーンは、多くの読者の涙腺を破壊したのではないでしょうか。

「添い遂げる殿方を見つける」という彼女の願いは、現世では叶いませんでした。

しかし、「ありのままの自分を愛してくれる人」を見つけ、その想いを伝え合えた。

ある意味で、彼女の目的は最高の形で達成されたと言えるのかもしれません。

殺伐とした世界に必要だった「恋」の光

甘露寺蜜璃は、復讐に燃える剣士たちがひしめく鬼殺隊の中で、最後まで「恋」と「ときめき」を失いませんでした。

彼女の底抜けの明るさ、天真爛漫な優しさは、間違いなく仲間たちの心を照らしていたはずです。

禰豆子を実の妹のように可愛がり、他の柱たちの良いところを見つけてはキュンキュンときめく。

彼女の存在そのものが、この物語の救いであり、緩和剤でした。

甘露寺蜜璃は、単なる萌えキャラでも、お色気担当でもありません。

自分の弱さと向き合い、それを乗り越え、「ありのままでいることの強さ」を体現した、鬼殺隊最強の「恋柱」なのです。

まあ、色々理屈をこねましたが、結論としては「蜜璃ちゃんマジ天使」ってことで、異論はないですよね?

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