あそびあそばせは打ち切り?最終回がひどいと言われる理由

【ネタバレ注意】本記事には『あそびあそばせ』最終15巻・最終話(第132話)までのネタバレが含まれます。

で、本音のところ、どうなの? 『あそびあそばせ』は打ち切りだったのか。検索すると「最終回がひどい」「迷走した」という声まで並んでいる。先に結論を言うと、公式に打ち切りと発表された事実はない。ただ、ぶっちゃけ、そう疑われる理由はちゃんとある。論点を3つに分けて見ていく。

で、結局あそびあそばせは打ち切りだったの?

結論から言うと、打ち切りではなく「完結」だ。少なくとも、打ち切りを示す公式の発表は見当たらない。

2022年11月29日、単行本の14巻と最終15巻が同時に発売され、シリーズは完結した。コミックナタリーの完結報道も「完結」と伝え、掲載媒体を移りながら2015年から約7年半にわたって描かれた作品だと紹介している。白泉社の15巻の紹介文も「遂に完結☆」だ。

経緯を並べるとこうなる。

時期 出来事
2015年 Webマンガサイト「ヤングアニマルDensi」で連載開始
2016年11月 ヤングアニマル本誌(23号)へ移籍
2018年7月 TVアニメ放送開始(監督:岸誠二、制作:Lerche)
2018年12月 7巻発売。紹介文に「累計100万部」
2020年8月 10巻発売と同時に連載100回
2022年11月 14巻と最終15巻を同時発売して完結

本誌への移籍は2016年のコミックナタリー記事、連載100回は2020年の記事、アニメのスタッフはTVアニメ公式サイトで確認できる。本誌移籍後だけで約6年、最終話は第132話を数えた。

しかも14巻と15巻は、2冊並べると表紙のイラストが1枚絵につながる仕様だった。少なくとも、慌てて畳まれた作品の扱いには見えない。

じゃあ、なぜ打ち切りを疑う声や、その理由を探す人がこれほど多いのか。わかる、あれはね……事実よりも「読後感」の問題なんだ。ここからが本題になる。

なぜ「迷走」「路線変更」と言われるのか?

「つまらなくなった」という不満の中身を分けると、大きく2つある。

主役3人の出番が減った?

1つ目は、遊び人研究会(あそ研)の3人――本田華子、オリヴィア、野村香純の出番が相対的に減ったこと。後半は新聞部や美術部の面々が前に出る回が増えた。

これは読者の気のせいではない。白泉社の13巻の紹介文には「あそ研の霊圧が消えた…だと!?」「美術部メンバーの強すぎる個性が大爆発」とある。出版社自身が冗談めかして認めているわけだ。

「美術部がつまらない」という検索が出てくるのは、たぶんここ。美術部の笑いはクセが強い。3人の他愛ない”お遊戯”が好きで読んでいた人ほど、置いていかれた気分になりやすい。気持ちは分かる。

ギャグの小ネタが本筋になった?

2つ目は、物語の手触りの変化だ。14巻の紹介文には、新聞部顧問の松戸先生に美術部部長のシャネル先輩が「監禁されちゃった!?」とある。ギャグ漫画にしては不穏な騒動だ。

そして最終15巻では、それまで小ネタのように扱われていた青空つぐみの”秘密”が、香純との「驚くべき関係」として回収される。ヤングアニマルWebに並ぶ終盤のサブタイトルは「天国への階段」「お姉ちゃん」「神との遊び」。香純の姉や”神”まで絡む、かなりスケールの大きい話になる。

学園の遊びを見に来た読者が「作品が変わった」と感じるのは自然だと思う。これが「路線変更」「迷走」と言われる正体だろう。

ただ、どちらも「つまらなくなった」とは別の話だ。群像劇としての広がりや、伏線の回収を楽しめた人も確実にいる。変化があったのは事実で、それを好むかどうかが割れている、というのが実態に近い。

じゃあ「最終回がひどい」は妥当なのか?

最終話は第132話「明日から…」。大事件の決着や卒業式のような区切りではなく、夏休みを目前にした、いつもの一日のような空気で幕を閉じる。

ここで評価がきれいに割れる。

厳しい側の言い分はこうだ。7年半かけて散らばった謎の答えが、最終巻にほぼ集中している。真相が明かされた直後に日常へ戻るので、余韻を味わう前に終わってしまう。13巻から約10か月あいて最後の2冊が同時に出たことも、「一気に畳んだ」印象を強めたと思う。

一方で、擁護する側の言い分もある。この作品はもともと、指相撲やあっちむいてホイのような遊びに本気になる放課後を描いてきた。大団円ではなく「いつもの一日」で終わるのは、むしろ作品らしい締め方だという見方だ。「明日から…」というタイトルも、物語の外で3人の遊びが続いていくことを想像させる。

つまり「最終回がひどい」の中身は、最終回の1話そのものより、最終巻での畳み方への戸惑いに近い。

整理すると、「打ち切り」は事実と違う。「駆け足に見える」は、構成上そう感じる人がいて当然。「ひどい」は、期待していた終わり方とのズレから出た言葉だ。3つは分けて考えたほうがいい。

本音のところ

正直に言うと、後半の『あそびあそばせ』は、序盤とは別の作品に見える瞬間がある。3人の掛け合いを見たくて読んでいた身としては、そこは認める。

ただ、一つ気になる事実がある。作者の涼川りんは完結から約半年後の2023年5月、漫画アクション(双葉社)で新連載『アウトサイダーパラダイス』を始めた。コミックナタリーの新連載記事によると、描かれるのは新聞部のぺんぺんと躑躅(つつじ)、美術部のねるたちの学生生活。『あそびあそばせ』の後半で出番が増えた面々と同じ名前のキャラクターだ。

ここからは筆者の推測になる。後半の比重の変化は迷走ではなく、作者がこのキャラクターたちを本気で描きたかった結果だったのかもしれない。そう考えると、あの「霊圧が消えた」後半も少し違って見えてくる。

もちろん、合わなかった人の感覚も間違っていない。どう受け取るかは、読んだ人が決めることだ。

それでもあそびあそばせが面白い理由

でもね、これだけは言わせてほしい。くだらない遊びに全力を注ぐ3人のテンションは、最終巻まで落ちなかったと思う。白泉社が15巻に添えた言葉も「最後の最後まで超テンション♪」だ。

後半に戸惑った人も、久しぶりに1巻から読み返してみてほしい。あの放課後の騒がしさがあったから、最後の「いつもの一日」がちゃんと効いてくる。だから『あそびあそばせ』は面白いんだ。


打ち切り説を調べていたら、美術部の話も青空さんの話も、それぞれ1本ずつ書きたくなってきた。辛口でいくつもりが、気づけばまた1巻を開いている。

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