薬屋のひとりごと 猫猫の魅力|毒に恋する少女が、人を救う薬になるまで
- 2026.04.16
- 薬屋のひとりごと
毒を口に含むとき、彼女はたぶん、いちばん幸せそうな顔をしている。
『薬屋のひとりごと』の主人公・猫猫(マオマオ)の話をしたいんです。後宮の薬師、毒見役、好奇心の塊——肩書きはいくらでも書けるけれど、私が彼女に惹かれるのは、もっと単純な理由です。猫猫は、自分が何を好きで、何を面白いと思うのかを、絶対に他人に明け渡さない。そういう女の子だから。
そばかすの下にあるもの
「美しさ」を自分の手で隠す少女
猫猫は、もともと整った顔立ちをしています。けれど後宮にいるときの彼女は、顔にそばかすを描き、髪をひっつめ、目をジトッと細めて、わざと垢抜けない姿でいる。これは「目立ちたくない」という処世術であり、同時に、彼女の内側にある明確な拒絶でもあります。
後宮という場所は、女性が「美しさ」で値踏みされ続ける世界です。そこで猫猫は、与えられた美貌を自分の手で隠してしまう。世間一般が女性に求めるもの——可愛らしさ、しおらしさ、男性に好かれる愛嬌——を、彼女は「いらない」と言ってのけている。
このそばかすが、私はとても好きなんです。猫猫が世界に対して立てている、いちばん最初の、いちばん物言わぬ抗議だから。
毒と薬という、彼女のたった一つの宗教
猫猫が好きなものは、はっきりしています。薬と、毒と、それを試すこと。新しい毒草を見つけたときの彼女の表情の輝きは、もうほとんど恋する少女のそれです。自分の腕に毒を試して、その効き目を冷静に観察する——普通に考えれば狂気の沙汰なのに、彼女がやると、なぜか純粋さに見える。
私は、ここに猫猫の本質があると思っています。彼女は「人にどう見られるか」をほぼ完全に放棄している代わりに、「自分が何を面白いと感じるか」を絶対に手放さない。世界中の誰が眉をひそめても、毒は猫猫にとって美しいし、薬は猫猫にとって尊い。この一点だけは、揺るがない。
そういう人って、実はそんなにいないと思うんです。多くの人は、年齢を重ねるごとに「自分が本当に好きなもの」を少しずつ世間の評価に明け渡していく。猫猫はそれを、一度もしていない。
玉葉妃の娘を救った、あの夜の決断
正義感ではなく、好奇心で人を救う
猫猫が後宮で頭角を現すきっかけは、玉葉妃の娘・鈴麗公主の命を毒から救ったことです。原因不明の体調不良——その正体が白粉に含まれた毒だと見抜いたのは、薬師としての知識と、何よりも「気になったから調べた」という好奇心でした。
ここが猫猫らしいなと思うのは、彼女は「人を救おう」と思って動いたわけじゃないところです。「なぜこの症状が出るのか」という謎が、彼女の好奇心に火をつけた。結果として人が救われた。順番がそうなんです。
でも、私はこの順番を、冷たいとはまったく思いません。むしろ、いちばん信頼できる優しさだと感じます。「善意で動く人」は気分次第で動かなくなることがあるけれど、「好奇心で動く人」は問いがある限り動き続ける。猫猫の好奇心は、彼女の優しさの、いちばん強い保証になっている。
壬氏に見出されてしまったということ
この一件で、猫猫は壬氏にその才を見抜かれ、毒見役という危険な役職に据えられます。本人としては大迷惑だったはずです。せっかく目立たないようにそばかすまで描いていたのに、いちばん見抜かれたくない人に見抜かれてしまった。
でも、ここから猫猫の世界はゆっくりと広がっていきます。一度後宮を離れ、また壬氏付きの侍女として戻り、玉葉妃の翡翠宮で毒見役を務める——彼女の歩みは、本人の意思とはちょっとずれた場所で進んでいく。けれど猫猫は、そのずれの中でも、自分の興味と矜持を絶対に見失わない。これが彼女の強さです。
猫猫が私たちに教えてくれること
「興味」は、生きる理由になりうる
大人になればなるほど、「好きなもの」を語るのが恥ずかしくなる瞬間が増えていきます。これって意味あるの、お金になるの、誰かに評価されるの——そんな問いに晒されて、いつのまにか自分の興味を小さく折り畳んで、しまい込んでしまう。
猫猫は、それをしません。毒草を見て笑う。薬の効能を語ると饒舌になる。誰に評価されなくても、その対象が世間から見て「変」だとされていても、彼女は自分の興味の純度を一切下げない。
私は猫猫を見ていると、ふと思うんです。「自分が何を面白いと感じるか」を握りしめていられること、それ自体が、もう一つの強さなんじゃないかって。後宮の権謀術数のなかで、彼女がいつまでも腐らずに澄んでいるのは、彼女の中にある「興味」が、世界のどんな汚さよりも純粋だからだと思う。
不器用に人を救ってしまう、その姿が好きだ
猫猫はたぶん、自分のことを「人助けが好きな子」だとは思っていません。むしろそう呼ばれたら嫌そうな顔をする。でも結果として、彼女の周りでは命が救われ、謎が解かれ、誰かが少しだけ救われている。本人は「面白いから調べただけ」と言うでしょう。
その不器用さが、好きなんです。優しさを自覚していない人の優しさは、いちばん信じられる。猫猫が次に毒草を見つけて目を輝かせるとき、私はきっとまた、彼女のことが少し好きになっている。
毒に恋する少女が、結果として人を救う薬になる。この物語がこんなに長く愛されているのは、たぶん、私たちの誰もが心のどこかで、そういうふうに生きてみたいと思っているからなんだと思います。
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