梅雨に染みる雨が美しい漫画ランキング7選

今日も推しの話をさせてください。窓の外でずっと雨が鳴っているこの季節、私はもう毎年やってしまうんですよ……「雨が美しく描かれている漫画」だけを引っぱり出して読み返す、っていう儀式を。わかる?! 梅雨って、湿度と気圧で気分が落ちるはずなのに、ページの中で降っている雨だけはなぜか胸を綺麗にしてくれる。今回はその「梅雨の夜に染みる7作品」を、感情の濡れ具合で全力ランキングにしました。

選定基準|「雨が物語ごと濡らしてくる」かで選びました

正直に書きます。今回の基準は冷静な分析じゃありません。雨のシーンが、読者の感情ごと濡らしてくるかどうか。この一点で選びました。雨が背景の天気として描かれている作品はたくさんあるけれど、私が選びたかったのは「そのシーンを思い出すと、今でも自分のまわりの空気がしっとり湿る作品」です。

具体的には、(1) 雨が物語のテーマや象徴として機能していること、(2) 雨上がりも含めて「水の名シーン」が忘れられない作品であること、(3) 梅雨の夜に布団の中で読んだら絶対に泣くこと、の3つで絞りました。順位は完全に私の熱量順です。「これが下の順位なのおかしくない?」と思った方、わかります、私もまだ迷ってます。それくらい全部好きです。

梅雨に読みたい雨の名シーンが美しい漫画ランキング7選

第7位|フルーツバスケット(高屋奈月/白泉社・全23巻)

長く愛されている少女漫画の金字塔ですが、改めて読み返すと「この作品、こんなに雨が降っていたっけ……?」って驚くんですよ。本田透という女の子の、お母さんを失った記憶と、その喪失をひとりで抱えていた時間。その心象風景として雨が何度も差し込んでくる構造になっていて、特に由希視点で透の幼い頃のエピソードに踏み込む15巻あたりは、ページの上から雨音が聞こえる気がしました。

「人の優しさを、雨に濡れた肩越しに思い出す」っていう感覚、わかりますか? この作品の雨は、悲しみのためだけじゃなくて、誰かが差し出してくれた傘の温度を覚えていてくれる雨なんです。失ったものと、それでも続いていく関係を、同じ重さで描けるから23巻ぜんぶ手元に置いておきたい。「優しさの記憶を呼び戻したい人」に、まず手を伸ばしてほしい一冊です。

第6位|天気の子(原作:新海誠/漫画:窪田航/講談社・全3巻)

もうこれは反則だと思っているんですよ。だってタイトルから雨。世界そのものが雨。劇場版を観た人がコミカライズに対して身構える気持ちもわかるんですが、窪田航さんが描く帆高と陽菜の表情の影と、雨に濡れた頬の質感、これがコミカライズだからこそ出せている濡れ方をしていて、私はもうページを閉じるたび深呼吸が必要でした。

「世界の形がどうなっても、あの人を選ぶ」という選択を、雨の中で全力肯定してくれる作品です。劇場版で号泣したタイプの方は、3巻という短さの中にあの感情がぎゅっと凝縮されているので、梅雨の夜に一気読みすると確実にやられます。「自分の選択を肯定してほしい雨夜」に向いている1冊。ちなみに私は最終巻のラストでいつも、傘をささずに走り出したくなる病が再発します。

第5位|思い、思われ、ふり、ふられ(咲坂伊緒/集英社・全12巻)

4人の高校生それぞれの「片想い・両想い・誤解・気づき」がきれいに編み込まれていく群像青春漫画なんですが、咲坂伊緒先生って雨の使い方が本当に上手で、登場人物の心が決まる瞬間や、決まらないまま停滞する瞬間に必ず空気が湿るんですよ。傘の中の二人、傘の外でやり過ごす一人、傘を貸せなかった後悔。同じ「雨」でも、誰が誰と濡れているかでこんなに切なさが変わるのか、と毎回うなります。

朱里・由奈・理央・和臣の4人、最初は誰推しになるかわからないと思うんですが、巻が進むにつれて全員の事情に肩入れし始めて、最後は「全員幸せになってくれ……」って祈りながら読んでます。「片想いの曖昧さに、自分の青春時代を重ねたい人」にぜひ。咲坂作品はどれも雨と相性がいいんですが、群像劇という意味ではこの作品が頭ひとつ抜けて梅雨向きだと思っています。

第4位|君に届け(椎名軽穂/集英社・全30巻)

長期連載作品で、しかも全30巻という重さを「梅雨におすすめ」と言うのには理由があるんです。爽子と風早くんの関係って、ものすごくゆっくり進むじゃないですか。「もうそろそろ……いや、まだか……えっ今のは脈アリ?」を何巻も繰り返す。あの時間の流れ方が、梅雨の長雨のリズムと完全に同期している。私はこれを「梅雨速度の少女漫画」と呼んでいます。

序盤の体育館前でのやり取り、傘を巡る小さなすれ違い、ちづ・あやねを含めた4人組の友情、千鶴ちゃんと龍くんの泣ける関係性、どれをとっても水の描写と相性がいい。一気読みするにはボリュームがあるので、梅雨の3週間くらいに分けて少しずつ味わうのが最高に贅沢です。「ゆっくりと心を温めていきたい雨の季節」に、本棚から引っぱり出してきてほしい作品。1巻からの爽子の不器用さ、最終盤の彼女の強さ、両方をこの梅雨に味わってください。

第3位|四月は君の嘘(新川直司/講談社・全11巻)

これは……語るのつらい作品なんですが、私が「雨の漫画」と聞いて絶対に外せない一作です。母を亡くしてピアノが弾けなくなった有馬公生と、自由奔放なヴァイオリニスト・宮園かをりの物語。タイトルにあるとおり「春」の物語のはずなんですが、二人をめぐる季節の中で雨が落ちてくる場面が何度もあって、そのたびに音楽と水の音が重なるんですよ。

個人的に泣くのは、公生がピアノに向き合えなかった理由を、雨の音の中で少しずつほどいていく場面。音楽漫画として読んでも、青春漫画として読んでも、喪失と再生の物語として読んでも、全部のレイヤーで雨が機能している。全11巻という長さも完璧で、梅雨の入り口から梅雨明けまでにちょうど読み終えられます。「泣くために泣きたい夜」用。ハンカチは2枚用意してください。1枚じゃ足りません。これ泣く、というか、これは確実に泣かされる作品です。

第2位|言の葉の庭(原作:新海誠/漫画:本橋翠/講談社・全1巻)

2位、というか、ある意味で梅雨に読むためだけに存在している漫画と言っていい1冊です。劇場版『言の葉の庭』のコミカライズで、舞台が梅雨時の新宿御苑。雨の日に学校をサボった高校生・タカオと、同じ場所で時間をやり過ごしている年上の女性・ユキノが、雨の日にだけ会うようになる物語。万葉集の和歌「鳴る神の少し響みて〜」が物語の核として登場するのも有名ですよね。

全1巻という短さに、これだけの情感が詰め込まれていることに毎年驚きます。本橋翠さんが描く東屋の屋根を打つ雨の質感、足元に広がる水たまり、その水たまりに揺れる人物の顔。コマ単位で名シーンと呼びたい場面が連続していて、ページをめくる速度がどんどん遅くなる。1冊なので「今日の梅雨夜のためだけに買う」ことを心からおすすめします。「梅雨の夜に、誰にも邪魔されず1冊を読み切りたい人」に。私は毎年6月に必ず開きます。これはもう年中行事です。

第1位|恋は雨上がりのように(眉月じゅん/小学館・全10巻完結)

1位、これしかありませんでした。タイトルが「雨」なんですよ。雨で始まって、雨上がりで終わる物語。陸上部のエースだった女子高生・橘あきらが、怪我で走れなくなって、ファミレスでバイトを始めて、店長の近藤さんに恋をする——という、年齢差恋愛のフォーマットで語られがちな作品ですが、私はこの漫画をそう紹介するのが本当に嫌で。これは「止まってしまった人間が、もう一度走り出せるかどうか」の物語なんです。雨はその象徴。

あきらの感情の動きを、ページの上の雨粒の量で描き分けてくる眉月じゅん先生の演出が、もう神業としか言いようがない。傘の柄の握り方、濡れた前髪を耳にかける指、雨上がりに差す光のグラデーション。少年漫画とも少女漫画ともつかない独特の繊細さで、感情がほどけていく過程を全10巻かけて丁寧に描き切ってくれます。完結済みで全10巻、というのも梅雨に読むには完璧なボリューム。最終巻を閉じたあと、私は数日、心の中の天気が「雨上がり」のままでした。「立ち止まっている自分を、責めずに肯定したい雨の夜」に、これ以上ふさわしい1冊はありません。

タイプ別おすすめ|あなたの梅雨夜にはこの1冊を

順位はつけたものの、「正直、今夜の自分にどれが効くか」は気分次第ですよね。なので状況別の処方箋も置いておきます。

「とにかく今夜1冊で完結したい」夜には、言の葉の庭。1巻完結、雨の質感は7作品中ぶっちぎり、所要時間は1〜2時間。布団の中で読み終えられます。「自分の足が止まってしまった気がする夜」には、恋は雨上がりのように。あきらと近藤さんの関係性が、走れなくなった自分を責めずに包み込んでくれます。「思いっきり号泣したい夜」には、四月は君の嘘。ハンカチは2枚。覚悟してから開いてください。「ゆっくり長く心を温めたい3週間」には、君に届け。梅雨期間まるごとを伴走してくれる長期連載の安心感です。「片想いの曖昧さに浸りたい夜」には、思い、思われ、ふり、ふられ。群像劇なので、自分に近い登場人物を見つけて感情移入できます。「世界の終わりごと誰かを選びたい気分」には、天気の子。3巻という短さに反して圧の強い1冊。「優しさの記憶をたどりたい夜」には、フルーツバスケット。23巻という大長編ですが、雨の場面だけを拾い読みするだけでも梅雨が穏やかになります。

まとめ

梅雨ってどうしても気分が落ちる季節ですけど、漫画の中で降っている雨は、現実の雨と違って必ず誰かの感情を運んできてくれます。今回の7選は、私が毎年6月になると本棚から必ず引っぱり出してくる、いわば「梅雨の常備薬」みたいなラインナップ。気になった作品から、ぜひこの梅雨の夜に開いてみてください。雨上がりの空気が、ちょっとだけ違って見えるはずです。次の梅雨も、また同じ7冊を抱えてここに戻ってきます。それまで、どうかいい雨の夜を。


正直に告白します。このランキング、最終稿を書き終えるまでに1位と2位を3回入れ替えました。言の葉の庭の1巻の濃度は反則だし、恋は雨上がりのようにの10巻のうねりも反則。結局「梅雨ぜんぶの夜数だけ通えるか」で1位を決めたんですけど、来年もう一度書いたら順位が変わっている気がしています。それくらい今夜の気分で揺れる7作品でした。

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