【チェンソーマン】デンジというジャンプ主人公の常識を壊した「欲望と無知」のヒーロー像

少年漫画の主人公といえば、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
仲間との絆、揺るがぬ正義感、そして強大な敵に立ち向かう不屈の精神…。
まあ、だいたいそんな感じですよね。でも、そんなお約束を木っ端微塵に破壊する男がいます。
そう、『チェンソーマン』の主人公、デンジです。
彼の最初の夢は「食パンにジャムを塗って食べたい」であり、最大の目標は「女を抱きたい」こと。
どう考えてもジャンプの主人公の器じゃない。なのに、俺たちはこのどうしようもない男から目が離せないのです。
今回は、この異色のダークヒーロー、デンジが俺たちの心を掴んで離さない理由を、ちょっと深く掘り下げてみようと思います。
欲望の純粋さが生む、共感と狂気
デンジというキャラクターを理解する上で、まず避けられないのが彼の壮絶な生い立ちです。
親の借金を背負わされ、ヤクザにこき使われる日々。
売れる臓器は片っ端から売り払い、食事は水で溶いた小麦粉か、相棒のポチタと分け合う一枚の食パン。
もはや生きているのが不思議なレベルの極貧生活です。
そんな彼が渇望したのが、「普通の生活」でした。
三食ちゃんと食べられて、暖かい布団で眠れる。たまには女の子とイチャイチャできる。
俺たちが当たり前のように享受している(あるいは、そうでありたいと願っている)日常こそが、彼の到達点だったわけです。
このあまりに低いハードルの夢に、妙な共感を覚えてしまうのは俺だけではないはず。
しかし、デンジのヤバさはここからです。彼はその「普通」を手に入れるためなら、倫理観なんてものを平気で踏み越えていきます。
俺たちの邪魔ァすんなら死ね!!!
ゾンビの悪魔を前に彼が叫んだこのセリフは、デンジの本質を完璧に表しています。
彼の行動原理は正義でも復讐でもない。ただひたすらに、自分の欲望に忠実なのです。
目の前で民間人が死んでも「俺は関係ねぇ」と意に介さず、人質が男なら躊躇なく武器として利用する。
主人公としてあるまじき邪道っぷりですが、この純粋すぎるエゴイズムが、逆に彼の人間臭さを際立たせていると言えるのではないでしょうか。
綺麗事を一切排した、剥き出しの欲望。それこそが、デンジが放つ抗いがたい魅力の源泉なのです。
無知は罪か?思考停止が最強の武器になる瞬間
デンジのもう一つの特徴は、「深く考えない」ことです。
というか、考えるのが苦手で、面倒なことはすぐに放棄してしまう。
アキに「義務教育受けてないのか?」と聞かれ、「受けてねえよ」と即答するシーンは象徴的でした。
常識や教養が欠落している彼は、複雑な状況に陥るとすぐに思考停止しがちです。
普通なら、これは致命的な欠点でしょう。しかし、『チェンソーマン』の地獄のような世界では、これが時として最強の武器になるから面白い。
例えば、強敵との戦い。デンジは緻密な作戦を立てるよりも、不死身の体を活かした猪突猛進の自爆戦法を好みます。
そして極めつけは、落下の悪魔との戦いで見せた「精神攻撃対策」。
トラウマを抉る精神攻撃に対し、彼はなんと自分の脳みそをチェンソーで切り刻んで思考をリセットするという荒業で対抗します。
「頭のネジがぶっ飛んでる」とはまさにこのこと。常人なら恐怖や絶望で心が折れる場面でも、デンジは「考えない」ことでそれを乗り越えてしまうのです。
もちろん、この「考えなさ」は諸刃の剣。マキマさんには最後までいいように手玉に取られ、出会う女性にはことごとく騙され、命を狙われる羽目になります。
それでも、彼の思考停止から生まれる予測不能な行動が、何度も絶望的な状況をひっくり返してきたのも事実。
無知であることの危うさと、それゆえの突破力。このアンバランスさもまた、デンジというキャラクターの深みを増しているのです。
「早川家」という擬似家族が照らし出す、デンジの人間味
ここまでデンジのクズっぷりやヤバさばかりを語ってきましたが、彼がただのサイコパスではないことを証明するのが、アキとパワーとの関係性です。
当初は反りの合わなかった先輩デビルハンターの早川アキ。
虚言癖のある傍若無人な血の魔人、パワー。
ひょんなことから始まった三人の共同生活、通称「早川家」は、この物語における数少ない癒やしであり、デンジの人間性を引き出す重要な装置でした。
あれだけ自己中心的だったデンジが、パワーの失態を庇ったり、アキの身を案じたりするようになる。
くだらないイタズラを仕掛けてはアキに怒られ、三人で食卓を囲む。そんな何気ない日常の描写が、彼の中に確かに芽生え始めた「絆」を浮き彫りにします。
人間関係の築き方を知らなかった少年が、不器用ながらも「家族」というものを手に入れていく。
この過程があったからこそ、後に訪れる悲劇が、読者の涙腺をこれでもかと破壊しにくるわけですが…。
「普通」に焦がれた少年が手に入れた、束の間の「普通じゃない家族」との日々。この経験が、単なる欲望の塊だったデンジを、血の通った一人の人間に変えていったのは間違いないでしょう。
デンジと女たち――彼の不幸は蜜の味?
さて、ここからは少しゲスい話になりますが、デンジを語る上で「女運の悪さ」は外せません。
彼の境遇を端的に示す、この名言をご存知でしょうか。
俺が知り合うおんながさあ!!全員オレん事殺そうとしてんだけど!!
まさにその通り。彼が好意を寄せた女性は、ことごとく彼の命を狙ってきます。
初めて優しくしてくれた上司のマキマさん。初めてデートした少女レゼ。そして第二部の主人公である三鷹アサ。
誰も彼もが、それぞれの思惑を持ってデンジに近づき、彼を利用し、最終的には殺そうとする。
これはもはや様式美であり、一種のギャグですらあります。
なぜ彼はこうも女難の相が出ているのか。それはおそらく、彼の「チョロさ」に起因するのでしょう。
女性からの少しの優しさや色仕掛けに、彼は驚くほど簡単に心を許してしまう。
それは彼の純粋さの裏返しでもあるのですが、結果として最悪の事態を招き続けるのです。
正直なところ、読者である俺たちは、彼の不幸な恋愛模様をどこかで楽しんでいる節がありますよね。
「次はどんなヤバい女が出てくるんだ?」と期待してしまう。デンジには申し訳ないですが、彼の女運の悪さは、物語を最高に面白くするスパイスになっているのです。
俺たちはなぜ、デンジから目が離せないのか
デンジは、従来の少年漫画のヒーロー像とは何もかもが違います。
彼は世界を救おうなんて思っていないし、正義のために戦うわけでもない。
ただ、美味い飯を食って、可愛い女の子とイチャイチャしたいだけ。
そのあまりに人間的で、俗っぽい欲望が、逆に俺たちの心を強く揺さぶるのではないでしょうか。
綺麗事だけでは生きていけないこの世界で、自分の欲望のままに突き進む彼の姿は、どこか痛快ですらあります。
彼は決して聖人君子ではありません。むしろ、クズで、バカで、どうしようもない男です。
しかし、そんな彼が不器用ながらも誰かを想い、守ろうとする姿に、俺たちは心を打たれてしまうのです。
デンジは、俺たちの心の中に潜む、どうしようもなさや満たされない欲望を肯定してくれる存在なのかもしれません。
だからこそ、俺たちは彼の行く末を、固唾を飲んで見守ってしまうのでしょうね。
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