【チェンソーマン考察】レゼという最高のヒロインかつ最凶のヴィラン。彼女が秘めた爆弾と純情

「デンジ君はさ 田舎のネズミと都会のネズミ どっちがいい?」
雨の電話ボックス。唐突に現れたミステリアスな美少女からの、どこか寓話めいた問いかけ。
この瞬間、主人公デンジだけでなく、俺たち読者の心も鷲掴みにされたはずだ。
漫画『チェンソーマン』における屈指の人気キャラクター、レゼ。
彼女が登場する「レゼ編(ボムガール編)」は、物語全体の中でも特に異彩を放つエピソードとして、今なお多くのファンの間で語り草になっている。
なぜ、彼女はこれほどまでに俺たちの記憶に焼き付いているのか。
それは彼女が、あまりにも完璧な「初恋」と、あまりにも残酷な「現実」を同時に体現した存在だったからに他ならない。
今回は、この刹那的なヒロイン、レゼという女の魔性とその魅力の本質について、深く掘り下げていこうと思う。
理想の「彼女」がそこにいた
レゼの第一印象は、控えめに言っても「最高」だった。
暗めの紫の髪、緑色の瞳、そして常にうっすらと赤い頬。
天真爛漫なようでいて、どこか影がある。人懐っこい笑顔を見せたかと思えば、ふと遠くを見つめるような憂いを帯びる。
デンジが彼女の働くカフェに通いつめる気持ちは、痛いほどわかる。
だって、彼女はデンジがずっと渇望していたものを、すべて持っていたからだ。
「デンジくんが知らない事 出来ない事 私が全部おしえてあげる」
学校を知らないデンジを夜の校舎に連れ出し、泳げない彼の手を取ってプールに飛び込む。
このシーンの破壊力、ヤバくなかったですか?
誰もいない夜のプールで、月明かりに照らされた美少女と二人きり。もはや伝説のシーンですよ。
作者・藤本タツキは、読者が抱く「青春」への幻想を、これでもかという純度で描き出す天才だ。
縁日で金魚すくいをし、花火を見上げる。そんなベタなデートシーンですら、レゼとデンジの手にかかれば、唯一無二の忘れられない思い出に昇華される。
デンジにとって、彼女との時間はまさに夢のようだったはずだ。
これまで「普通の生活」すら知らなかった少年が、初めて手にした甘酸っぱい青春そのもの。
そして、とどめの一言。
「だって私… デンジくんが好きだから」
一緒に逃げようという彼女の誘い。それは、デンジがこれまで決して得られなかった「誰かに選ばれる」という経験だった。
この時点で、ほとんどの読者は思ったはずだ。「もう公安なんて辞めて、二人で逃げちまえよ」と。
俺もそう思った。だが、この物語はそんな甘い夢を許してはくれない。
裏切りのキスと爆音の正体
デンジが彼女の誘いを断った直後、物語は急転直下する。
花火の音にかき消されるように交わされたキス。その直後、デンジの口からこぼれたのは、愛の言葉ではなく、噛みちぎられた自分の舌だった。
このシーンの衝撃は、今思い出しても鳥肌が立つ。
これは単なる不意打ちじゃない。愛の告白というコミュニケーションの象徴である「言葉」と「舌」を物理的に破壊することで、「お前との間にあった全ては嘘だ」と叩きつける、あまりにも残酷な意思表示だ。
彼女の正体は、ソ連のスパイであり、「ボム」の心臓を持つ武器人間。
デンジへの接近も、見せてきた笑顔も、頬の赤みも、すべてはチェンソーマンの心臓を奪うための「演技」だった。
チョーカーだと思っていた首輪の金具は、手榴弾のピン。
それを引き抜いた瞬間、可憐な少女は、街を蹂躙する破壊の化身へと変貌する。
ここからの戦闘シーンは圧巻の一言に尽きる。
それまでデンジに見せていた柔らかな物腰は消え失せ、冷徹かつ圧倒的な力で公安のデビルハンターたちを葬り去っていく。
理想のヒロインから、最悪のヴィランへ。
この急激な落差こそが、レゼというキャラクターの第一の魔性だ。
読者は「騙された」という怒りと、「それでも」という未練の間で、感情をぐちゃぐちゃにかき乱されることになる。
「全部嘘」は、本当は嘘だったんじゃないか
だが、物語は「彼女はただの敵でした」では終わらない。
もし本当にすべてが嘘だったなら、話はもっと単純だっただろう。
激闘の末、デンジに敗れたレゼは「これまでに自分がデンジに見せたものは表情も赤らめた頬も全部嘘だった」と告げる。
しかし、彼女の行動には矛盾が見え隠れする。
本当に任務遂行が目的なら、海岸で無防備なデンジを殺せたはずだ。なのに彼女は首の骨を折るに留め、その場を去る。
そして、最後まで彼女を信じようとしたデンジの叫び。
「あのカフェで待ってるから!!」
この言葉が、彼女の心を縛り付けていた「任務」という名の鎖を破壊する。
駅のホームで電車を待つレゼの脳裏に、デンジと過ごした日々の記憶がフラッシュバックするシーン。ここの演出は、もはや芸術の域だ。
彼女はソ連で実験材料として育てられた「モルモット」。
おそらく、彼女の人生で「学校に行く」ことも「誰かとデートする」ことも、すべてが初めての経験だったのだろう。
それは「演技」だったかもしれない。
だが、演技で体験した「初めての青春」に、彼女の心が少しも動かなかったなんてことが、あり得るだろうか。
結局、彼女は電車に乗ることをやめ、デンジの待つカフェへと走り出す。
それはスパイとしての「任務」を放棄し、一人の少女として「恋」を選んだ瞬間だった。
だが、そのささやかな願いは、最悪の形で打ち砕かれる。
彼女の前に現れたマキマ。そして、まるで二人の会話を聞いていたかのように告げられる、絶望の言葉。
「私も田舎のネズミが好き」
この一言が持つ残酷さ。読者の心臓を抉るような、完璧なタイミングと完璧なセリフ。
結局、レゼはデンジと再会することなく、その生涯を終える。
結論:俺たちは「あり得たかもしれない未来」に恋をした
レゼの魅力とは何か。
それは、ヒロインとヴィランの二面性、そしてその奥に確かに存在したであろう「少女としての本心」、この三つの要素が織りなす、あまりにも悲劇的で美しいアンビバレンスにある。
彼女は、デンジに「普通の青春」という夢を見せ、そして目の前で爆破してみせた。
しかし、その爆弾は彼女自身をも傷つけていた。
もし、マキマがいなかったら?
もし、二人があのカフェで再会できていたら?
読者は、この「あり得たかもしれない未来」を想像せずにはいられない。
レゼは、デンジが手に入れ損ねた「最高の初恋」の象徴であり、その喪失感は、そのまま読者の心の傷として深く刻まれている。
束の間だったからこそ、その輝きは永遠になった。
だから俺たちは、今でもあの雨の電話ボックスと、夜のプールと、打ち上げ花火を忘れられないのだ。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の公開が決定した今、再びあの爆弾と純情に心を揺さぶられる日が来るのが、楽しみでもあり、少し怖くもある。
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