【チェンソーマン】クァンシという、”殴り合いなら人類最強” の女。魔神ハーレムや岸辺との関係とは?

『チェンソーマン』という狂気の物語の中でも、ひときわ異彩を放つ存在、それがクァンシだ。

銀髪、眼帯、そして4人の女性魔人を侍らせたハーレム。

初登場時のインパクトは凄まじく、「またヤバいのが出てきた」と誰もが思ったはずだ。

「始まりのデビルハンター」にして「人類最強」。

その肩書きだけでワクワクするには十分すぎるが、彼女の魅力はそんな単純な言葉では到底収まらない。

今回は、このミステリアスで危険な美女、クァンシの魔性とも言える魅力について、深く掘り下げていきたいと思う。

「死体が喋っている」――圧倒的すぎる“強さ”の説得力

クァンシを語る上で、まず避けて通れないのがその戦闘能力だ。

あの岸辺隊長に「全人類が集まって素手で殴り合う競技があったら一位」とまで言わしめる、まさに人類最強の存在。

作中での彼女の戦いは、もはや「戦闘」というより「蹂躙」と呼ぶ方がふさわしい。

双剣を構え、音もなく駆ける。次の瞬間、彼女が通過した軌道上の敵は、首や胴体が綺麗に切断されている。

しかも、切られた本人たちは自分が死んだことにすら気づけないほどの神速。

仲間の魔人、ピンツイが呟く「尸体在说话(死体が喋っている)」――このセリフこそ、彼女の戦闘力を表す言葉はないだろう。

しかし、彼女の恐ろしさは単なる物理的な強さだけではない。

そのメンタリティ、まさに『頭のネジが飛んでいる者ほどデビルハンターの適性は高い』という岸辺の言葉を体現している。

作中屈指のヤバい人物(誰とは言わないが)に対しても、平然とセクハラを敢行する胆力。

これはもう、怖いもの知らずとかいうレベルじゃない。常人には理解できない領域に彼女は立っている。

最強のデビルハンターが持つ「哲学」

そんな戦闘狂のイメージが強いクァンシだが、彼女がふと漏らす言葉には、妙に達観した響きがある。

「この世でハッピーに生きるコツは」

「無知で馬鹿のまま生きる事」

このセリフ、単なる世捨て人の戯言と片付けるのは早計だろう。

数多の地獄を潜り抜けてきたであろう「始まりのデビルハンター」だからこそ至った、一種の生存戦略であり、究極の虚無感の表れなのかもしれない。

現実を知れば不愉快になるだけ。ならば、いっそ何も知らない馬鹿のままでいた方が幸福だ、と。

この冷めきった価値観が、彼女の圧倒的な強さと表裏一体となって、キャラクターに底知れない深みを与えているんだよな。

ハーレムに隠された「献身」という名の愛

クァンシの代名詞とも言える「魔人ハーレム」。ピンツイ、ロン、コスモ、ツギハギという4人の女性魔人を侍らせる姿は、まさに退廃的で美しい。

本人もレズビアンであることを公言しており、かつて相棒だった岸辺の長年にわたるアプローチも「男は相手にしない」と一蹴している。

だが、これを単なる性欲の捌け口や支配欲の現れと見るのは、あまりにも浅い。

彼女がデンジの心臓を狙うという危険な任務を引き受けた報酬は、金でも名誉でもない。

「仲間の4人の魔人に人権と義務教育を与えること」

これだ。この一言に、彼女の愛情のすべてが詰まっていると言っても過言ではないだろう。

魔人という、人間社会では家畜以下の存在である彼女たちを、一人の人間として扱われる世界に連れて行こうとしている。

それは、ハーレムの主従関係を超えた、もっと深い「家族」のような繋がりを感じさせる。

事実、彼女たちのうち一人が人質に取られた際には、即座に交渉に応じる姿勢を見せている。

また、敵対していたパワーに対しても、決して暴力に訴えず「お嬢さん」と呼びかけ、対話を試みる。

女性には甘く、優しい。しかし、邪魔をする男には悪魔だろうが人間だろうが一切の容赦なく瞬殺する。

この徹底したスタンスこそが、クァンシというキャラクターを形作る重要な要素なんだ。

謎多き過去と、考察を呼ぶ名前

「始まりのデビルハンター」という肩書きを持つクァンシだが、その過去は多くの謎に包まれている。

唯一の手がかりは、元相棒・岸辺との関係だ。

単行本のおまけで描かれた公安時代の姿は、今よりも少しだけ表情が柔らかいようにも見える。

若き日の岸辺が「いい女だな」と何度も口説いていたというエピソードは、二人の間にあったであろう複雑な歴史を想像させて、オタクの心をくすぐる。

そして、ここからは少しゲスい話になるが、キャラクターの「名前」ってのはオタクにとって重要な考察ポイントだ。

クァンシという名前、実は公式で漢字が明かされてないんだ。

これには諸説あって、

  • ビズメディアによる公式英語版では「Quanxi」(チュエンシ)
  • 台湾の公式中国語版では「光星」(Guāngxīng)

といった訳が当てられている。ただ、どちらも日本語の「クァンシ」とは少し発音が違う。

そのため、中国語圏のファンの間では、より発音が近い「光熙」(Guāngxī)という字を当てて呼ぶことが多いらしい。

結局、藤本タツキ先生の頭の中にしか正解はないわけだが、このミステリアスさが、また俺たちの想像力を掻き立てるんだよな。

我々はなぜクァンシに惹きつけられるのか

さて、ここまでクァンシの魅力を語ってきたが、結局のところ、我々が彼女に心奪われるのはなぜだろうか。

それはおそらく、彼女が内包する「矛盾」にあるのではないだろうか。

人類最強でありながら、愛する者たちのためには頭を下げることも厭わない「強さと献身」。

全てを達観したような態度を取りながら、一番ヤバい相手にちょっかいを出す「冷静さと破天荒」。

クールな美女に見えて、その実、誰よりも深い愛情を持つ「冷徹さと人間味」。

この掴みどころのない多面性が、クァンシというキャラクターに圧倒的な奥行きを与えている。

第二部では意外な形で再登場を果たし、ファンを驚かせた彼女だが、その真意はまだ見えない。

果たして彼女は、この地獄のような世界で、かつて望んだ「ハッピー」を見つけることができるのか。

これからも、この美しく危険なデビルハンターから目が離せそうにない。

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