デスノート 後半 つまらない?賛否を3論点で整理
- 2026.06.17
- DEATH NOTE
【ネタバレ注意】本記事にはDEATH NOTEのネタバレが含まれます。Lの退場やラストの展開に触れるので、未読の方はご注意ください。
で、本音のところ、どうなの?「デスノート 後半 つまらない」で検索する人、けっこう多いんです。Lが死んだあとのニア・メロ編から失速した、という声ですね。正直に言うと、その気持ちはすごく分かります。でも本当に駄目なのか。今回はその賛否を、フラットに3つの論点で整理します。
その前に前提だけ。DEATH NOTEは原作・大場つぐみ、作画・小畑健のコンビによる作品で、週刊少年ジャンプで2003年から2006年まで連載され、コミックスは全12巻です。物語はざっくり前半と後半に分かれます。前半は、ノートを拾った夜神月(キラ)と、それを追う名探偵Lの直接対決。ここが多くの読者にとっての「黄金期」です。そして後半。Lは58話「胸中」を最後に退場します。だいたい7巻の終盤ですね。L亡きあと、彼の後継者であるニアとメロ(どちらもLを育てたワミーズハウス出身)が登場し、月との最終決戦へ向かう——これがいわゆる「キラ最終編」、つまり「後半」です。つまり「後半つまらない」論のほとんどは、このL死後・ニア/メロ編を指していると思って間違いありません。じゃあ、なぜそう言われるのか。論点を3つに分けます。
論点1:見たかったのは「月 vs L」の決着だったのでは?
これが一番大きいと思います。前半の魅力は、頭脳戦というより「月とLという二人の天才の、ヒリヒリした一騎打ち」でした。同じ屋根の下で手錠でつながれて互いを疑い合う、あの濃密な距離感。読んでいて息が詰まるような緊張がありました。
多くの読者が期待していたのは「月がLを仕留めるか、Lが月を仕留めるか」のどちらかの結末だったはずです。ところがLは道半ばで退場してしまう。その瞬間、読者が一番見たかったカードが消えた、というわけです。物語としては大胆な一手でも、「決着を見たかった」側からすれば肩透かしに感じられた。あの濃密な緊張が二度と戻らないと分かったとき、続きを読む熱量が一段下がってしまった、という人は少なくないと思います。
これは作品の出来というより「期待値とのズレ」の問題でもあります。後半が始まる前に、すでにハードルが上がりきっていた。前半でアニメ化や実写化を含めて爆発的に伸びたぶん、続きに求められる水準も跳ね上がっていた、という事情もあります。Lが強烈すぎた、とも言えますね。だから「失速」と感じる人がいるのは、ごく自然なことなんです。
論点2:ニアとメロが「Lの代わり」に見えてしまう?
後半の追手はニアとメロの二人。設定上は「Lに匹敵する頭脳」を持つ後継者です。でも、ここで賛否が割れます。二人とも個性は立っているのに、登場のしかたが「Lの代役」に見えてしまう瞬間がある。これが評価の分かれ目です。
新キャラが二人に分かれたことで、Lという一点に集中していた緊張感が分散してしまった、という指摘があります。前半はLという一人の人格に感情を預けられたのに、後半はニアとメロに役割が割れる。どちらにも完全には肩入れしきれない、という読み心地の差ですね。
さらに「結局Lの後継者でしょ?」という見られ方をすると、どうしてもオリジナルのLと比較される。ニアの淡々とした冷静さも、メロの過激な行動力も、それぞれ魅力的なんですが、Lという完成された一人と比べると印象が割れてしまう。新キャラが本家を超えるのは、構造的にかなり難しいんです。
当時から「対Lの盛り上がりほどではない」という声はありました。ガタ落ちというより、ピークと比べられて損をしている、という感覚に近いかもしれません。気持ちは分かる。Lの存在感が大きすぎた、という言い方もできます。
論点3:ルールが複雑になり、月の「無敵感」が薄れた?
もう一つよく挙がるのが、デスノートのルールやトリックが後半でどんどん複雑になった点です。前半は「名前と顔さえ分かれば殺せる」というシンプルな恐怖が軸でしたが、後半は条件や例外が増えていきます。誰が誰の目を持ち、誰がノートに触れているか——把握すべき情報が一気に膨らみ、読み返さないと展開を追いにくい、と感じる人が出てきました。
最終決戦は、魅上照が偽ノートに名前を書き、ニアがあらかじめ本物とすり替えていた——というすり替えトリックで決着します。緻密ではあるんですが、前半の「対面の心理戦」に比べると、勝敗が舞台裏の仕込みで決まる印象が強い。読者がリアルタイムで一緒に推理しづらくなった、という声につながります。
そして「後半の月は頭が悪くなったのでは?」という有名な疑問。高田清美や魅上といった駒を使う展開で、月本人が自分の手を汚さず動かす場面が増えた結果、前半の「自分一人で全部読み切る天才」の凄みが薄れて見えた、という見方です。これも、わかる。Lがいた頃の、息のつまるような一対一の駆け引きが恋しくなる、というのは正直な感覚だと思います。完璧だった月が少しずつ綻んでいく過程を「失速」と見るか「人間味」と見るか、ここでも評価は割れます。
本音のところ
ぶっちゃけ、論点1〜3はどれも「言われてみればそうだよね」と思える指摘ばかりです。筆者も初読のとき、Lが死んだページで本気で手が止まりました。「え、この人いなくなるの?」って。気持ちは本当に分かる。
ただ、ここは公平に言っておきたい。後半を「つまらない」と切り捨てる人がいる一方で、「2部のほうが好き」「対Lほどではないにせよ十分面白い」という声も確かに存在します。複雑化したルールを「失速」と取るか「進化」と取るかは、けっこう読み手次第なんですよね。
つまりこれは「客観的に駄目だから叩かれている」というより、前半が完璧すぎたがゆえに、その落差で語られている議論だと筆者は見ています。失速というより、頂点が高すぎた。どう感じるかは、最終的にあなた自身がどこに価値を置くかで変わるはずです。
それでもデスノートが面白い理由
でもね、これがあるからデスノートは面白いんだ、と言いたい部分があります。後半まで読んで初めて、この物語は「神になろうとした人間が、どう転落するか」の話だったと分かる。月が最後にリュークの前で無様に命乞いをするあの幕引きは、Lとの決着では絶対に描けなかった結末です。
前半の月vsLが「最高の対決」なら、後半は「最高の転落劇」。賛否ごと味わってこそ、この作品の本当の凄みが見えてくる——筆者はそう思っています。
正直に言うと、この記事を書きながら「メロの最期」も「魅上の壊れ方」も別記事で語りたくなって、下書きが3本に増えました。後半、語りたいこと多すぎる。
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