ジョジョリオンはなぜつまらないと言われる?理由と賛否

で、本音のところ、どうなの? 「ジョジョリオンはつまらない」という声、ジョジョ好きの間でもときどき聞きます。

ぶっちゃけ、そう言いたくなる理由は分かります。ただ、それは「中身が薄い」というより「読みにくさ」から来ている部分が大きい、と筆者は見ています。事実と印象を分けて整理していきます。

※【ネタバレ注意】本記事にはジョジョリオンの黒幕の正体と結末のネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。

で、ジョジョリオンってどんな作品だったの?

まずは事実から押さえます。『ジョジョリオン』は荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第8部です。検索では「7部」と一緒に調べられることもあるようですが、第7部は『スティール・ボール・ラン』で、ジョジョリオンはその次の部にあたります。

項目 内容
位置づけ 『ジョジョの奇妙な冒険』第8部(第7部『スティール・ボール・ラン』の次)
連載誌・期間 ウルトラジャンプ(集英社・月刊)2011年6月号〜2021年9月号(約10年)
巻数・話数 全27巻・全110話
舞台 M県S市杜王町(第4部と同じ地名)
主人公 記憶を失った青年・東方定助
受賞 2013年 第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 大賞

連載開始はコミックナタリーの報道によると2011年5月19日発売のウルトラジャンプ6月号。大地震のあとに現れた「壁の目」で、広瀬康穂が土に埋まった謎の青年を見つけるところから物語が始まります。

青年は東方家に引き取られて「東方定助」と名付けられ、自分は何者なのかを探っていきます。その途中で、ケガや病気を治すが「等価交換」の代償を伴う果実「ロカカカ」と、それを狙う「岩人間」が絡んでくる、という流れです。

なぜ「ジョジョリオンはつまらない」と言われるのか?

結論から言うと、「何を目指している話なのか」がつかみにくい要素が重なったから、だと筆者は見ています。よく挙がる理由は大きく4つです。

1つ目は、月刊連載で約10年という長さです。ジョジョリオンはシリーズで最も長く連載された部です。月刊誌なので、リアルタイムで追うと1年でだいたい10話ほどしか進みません。謎が多い話を月1回ずつ読むと、前の話を忘れがちになる。「展開が遅い」と感じた人が多かったのは、この形式も大きいと思います。

2つ目は、主人公の目的が途中で変わることです。序盤の定助の目的は「自分は誰なのか」を知ること。中盤で、自分が吉良吉影と空条仗世文という2人が融合した存在だと判明しますが、記憶は戻りません。そこから目的は、病に倒れた吉良ホリーをロカカカで救うことへ移っていきます。ゴールが一本道ではないので、「結局何の話?」と感じやすいんです。

3つ目は、敵の構図が分かりにくいことです。敵は岩人間だけではありません。東方家の長男には代々「体が石化していく」奇病があり、家族それぞれが別の思惑で動きます。さらに、黒幕だと思われていた病院の院長は、実は終盤に登場する透龍のスタンド「ワンダー・オブ・U」が演じていた姿でした。この能力は追う者に「厄災」が降りかかるというもので、理屈で戦う従来のジョジョのバトルとは手触りが違います。

4つ目は、第4部への期待とのズレです。舞台は第4部と同じ地名の杜王町で、似た名前の人物も出てきます。でも中身は別の世界の物語で、作者も単行本1巻のカバーで、第4部の知識は前提にしていないという趣旨を書いています。第4部の続きを期待して読み始めた人ほど、肩透かしを食らったかもしれません。

さらに結末では、定助たちは最後まで吉良ホリーを救えません。この締め方を「すっきりしない」と受け取る人がいるのも、気持ちは分かります。

じゃあ「つまらない」という評価は妥当なのか?

わかる、あれはね…読みにくさは確かにあります。ただ、「つまらない」の一言で片付けられない材料もはっきりあります。

まず、外からの評価です。ジョジョリオンは連載中の2013年に、第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を受賞しています。少なくとも「中身がない作品」という評価だけでは説明がつきません。

次に、物語の芯は回収されています。第1話の時点で、この物語は「呪い」を解く物語だと示されていました。最終盤では、東方家の長男・つるぎの病は等価交換によって治ります。そして定助は、自分は仗世文でも吉良でもない、壁の目から生まれた「定助」だと受け入れ、東方家の家族として迎えられて物語が終わります。自分探しの答えとしては、きちんと着地しているんです。

そして、きちんと完結した作品です。コミックナタリーの完結報道によると、最終回は2021年8月19日発売のウルトラジャンプ9月号に掲載。荒木先生は目次コメントで「ジョジョリオン10年間ありがとうございました!」とつづっています。

つまり「つまらない」という声の多くは、作品の出来そのものより「月刊で追う読みにくさ」「目的と敵の分かりにくさ」に向いている、と筆者は考えます。全27巻を単行本でまとめて読むと、印象が変わる人も多いはずです。

本音のところ

正直に言うと、私もリアルタイムで追っていた頃は「今どこに向かってるんだっけ?」と何度も読み返していました。院長の正体が分かったあたりでは、正直少し混乱もしました。

でも、ホリーを救えない結末は、ジョジョリオンらしい選択だったとも感じます。ロカカカは何かを治せば何かを失う「等価交換」の果実です。全部を救える奇跡がない世界で、それでも家族を守ろうとする話だからこそ、救えなかったものの重さが残る。

ハッピーエンドの爽快さを期待すると物足りない。でも「呪いとどう向き合うか」の物語として読むと、筋は通っています。「つまらない」と感じた人も、一度その視点で読み返してみると、見え方が変わるかもしれません。どう受け取るかは読者次第ですが、筆者はそう思います。

それでもジョジョリオンが面白い理由

ジョジョリオンのいちばんの良さは、「このジョジョは何者だ」という問いを、10年かけて最後まで描き切ったことです。名前も記憶もない青年が、最後に自分の居場所を見つける。その一点に向かって、杜王町の奇妙な日常と不気味な敵が積み重なっていきます。

月刊で追うのはしんどかった。でも一気に読むと、伏線が少しずつつながる気持ちよさがある。賛否はあっても、ジョジョリオンは確かに「ジョジョ」の一冊として愛すべき作品です。


辛口で切り込むつもりが、気づけば豆銑礼の「ドヤ」の話まで書きたくなっていました。次は東方家の話もいけそうです。

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