チェンソーマン パワーの魅力|最悪で最高な血の魔人

今日も推しの話をさせてください。

パワー。チェンソーマンを読んだ人なら、この名前だけで何かがこみ上げてくるんじゃないでしょうか。血の魔人、自称・大統領候補、猫のニャーコを溺愛する嘘つき。あらゆる要素がめちゃくちゃなのに、気づいたら一番好きになっている。今日はパワーの魅力を全力で語らせてください。

パワーは「ヒロイン」のルールを全部壊す

第一印象が最悪という設計

パワーの初登場を覚えていますか? デンジの前に現れた血の魔人。自分勝手で、嘘つきで、手柄を横取りし、風呂に入らない。少年漫画のヒロインとして、およそ考えられる最悪の第一印象です。

でも、これが藤本タツキ先生の設計なんですよ。

最初の印象が悪ければ悪いほど、後から見せる「良い面」の破壊力が増す。パワーがデンジのためにほんの少しだけ優しいことをする瞬間、読者はその小さな変化に感情を持っていかれます。最初から完璧なヒロインでは、この落差は生まれない。パワーの魅力は「第一印象の悪さ」から始まっているんです。

「かわいい」が従来の意味じゃない

パワーは美少女ですか? ビジュアルだけ見ればそうです。角のある金髪の女の子。でもパワーの「かわいい」は見た目の話じゃない。

野菜を食べない。嘘をつく。手柄を自分のものにする。ニャーコのためなら何でもする。怖いことがあるとデンジの後ろに隠れる。トイレを流さない。

——全部かわいくないですか?

パワーのかわいさは「人間(魔人)としてのダメさ」から来ています。完璧じゃないどころか、社会生活がまともに送れないレベル。でもその裏返しとして、感情がむき出しで、嘘が下手で、大切なものへの愛情が隠しきれない。パワーは「かわいい」の定義を更新したキャラクターだと思っています。

ニャーコが暴いたパワーの本質

猫一匹のために世界を敵に回す魔人

パワーが公安に協力する動機は、ニャーコを取り戻すためでした。愛猫を人質に取られ、それを取り返すためにデンジを裏切りすらする。

ちょっと待って、ここすごく大事なんです。

パワーは「正義」のために戦っていない。「世界を守る」ためでもない。猫を取り戻したいだけ。この動機の卑近さが、パワーというキャラクターのリアリティを支えています。大きな理想なんかなくても、目の前の大切な存在のために必死になれる。それは多くの読者にとって、むしろ共感しやすい動機じゃないでしょうか。

「嘘つき」が見せる本当の顔

パワーは常に嘘をつきます。自分を大きく見せるための嘘、責任逃れの嘘、見栄の嘘。でもニャーコに関してだけは嘘をつかない。「ニャーコが大事」という気持ちだけは、パワーの中で唯一の「本当のこと」なんです。

嘘つきが一つだけ本当のことを言うとき、その言葉の説得力はとんでもない。藤本先生はそれをわかっていて、パワーを「嘘つき」に設計したんだと思います。

デンジとパワーの関係——恋愛じゃない「それ以上」

家族でも恋人でもない「相棒」

デンジとパワーの関係を恋愛として読む人は少ないと思います。二人の間にあるのは恋愛感情というより、「一緒にバカやれる相棒」の空気です。同じ屋根の下でだらだら過ごし、飯を食い、テレビを見て、くだらないことで喧嘩する。

この「何でもない日常」がチェンソーマンの中で最も温かいシーンになっているのが、もう——わかりすぎてつらい。

デンジにとってパワーは、初めて「対等に一緒にいられる存在」です。マキマのような支配関係でも、上下関係でもない。お互いにダメなところを隠さず、それでも一緒にいる。この関係性は、少年漫画の男女関係として新しい形を示したと思います。

だからこそ、あの展開が——

【ネタバレ注意】ここから第1部終盤の重大なネタバレを含みます。

パワーの最期について、私はまだ冷静に書ける自信がありません。

デンジを守るために現れたパワー。「デンジと関わったことで、血の魔人にも感情が生まれた」——この事実が、それまでの日常シーンのすべてを伏線に変えてしまう。一緒にテレビを見ていた時間、くだらない嘘をついていた時間、ニャーコを撫でていた時間。あの全部が、パワーが「人間の感情」を学んでいく過程だったんです。

……すみません、書いてたらまた泣きそうです。

パワーが最後にデンジに託した願い。あれを読んだとき、私はこのキャラクターが漫画史に残る存在だと確信しました。パワーは「最強のヒロイン」ではない。「完璧なヒロイン」でもない。でも、「最も愛されるキャラクター」の一人であることは間違いありません。

まとめ

パワーの魅力は、従来のヒロイン像を壊す第一印象の悪さ、ダメさの裏にある剥き出しの感情、ニャーコへの純粋な愛、そしてデンジとの恋愛を超えた絆にあります。藤本タツキ先生が設計した「完璧じゃないからこそ愛される」キャラクター。チェンソーマンを読んでいない方は、パワーに出会うためだけに読んでほしい。後悔はさせません。


パワーの記事を書くと決めたとき、「冷静に書こう」と思ったんです。結果、3回泣きました。感動作の記事は字数が倍になる癖、本当に治りません。——花詠ミサキ

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